TOP > 平成23年度 調査研究報告・学士課程における看護学専門分野別評価実施の仕組みづくりに関する調査研究 > 平成23年度調査研究概要
看護系大学が急増する中、看護基礎教育の質の向上・充実をはかるには、専門分野に特化した看護学教育評価の実施仕組みづくりが必要である。本委員会では、日本看護系大学協議会でこれまでに検討してきた看護系大学の専門分野別評価基準案等の蓄積を基に、看護系大学間でピアレビューを試行し、看護系大学・看護学専門別領域における評価基準とその適正な実施方策、また、本評価システム組織の構築、本評価システムの活用方法について検討を重ねることである。
これまで本協議会では、平成13年度以降、大学における看護学教育の基準に関する検討に取り組んできた。平成14〜16年度には「看護学教育質向上委員会」において、海外の第三者評価の現状を把握し、評価基準のガイドラインを作成した。
これを受け、平成17年度からは、「看護学教育評価機関検討委員会」を設置し、平成17〜18年度には、看護学の学士・大学院課程の評価基準案と評価体制案を取りまとめた。平成19年〜20年度は文部科学省大学評価研究委託事業「看護学専門領域の評価システム構築―看護系大学・大学院の認証評価を目指して」の委託を受け、まず、今後の取り組み概要(図1)を描き、事業を発展させた。平成19年度には、米国の看護系大学・大学院の認証評価方法に関する調査を実施するとともに、国立大学1校、公立大学1校、計2校において、これまで作成してきた評価基準案を用いた学士課程の評価を試行し、成果を会員校を対象とした2回のシンポジウムで報告した。また、平成20年度には評価のシステム体制を強化するため、評価委員制度を導入し、評価委員の育成にむけた研修を、16名の会員校教員を対象に実施した。さらに、本研修が終了した評価委員の中からの数名は、その後の4大学における相互評価の試行評価を一緒に行った。同様に20年度も、本システム構築の成果を2回のシンポジウムで報告し、会員校への共有に努めた。
図1 取り組み概要
さらに、平成21年度も引き続き、文部科学省大学における医療人養成推進等委託事業の委託を受け、過去8年間に検討してきた評価基準案等の蓄積をもとに、看護系大学の看護学専門領域における評価者システムの構築、評価項目基準の明確化、試行評価に基づく改善方法の提示について更なる検討を重ねた。特に、看護系大学の専門分野別評価と大学機関別認証評価との識別を明確にするため、学士課程における既存の評価基準・項目を改変し、新たな評価10基準および評価項目を作成した。さらにこれら新評価基準・項目の浸透を図るため、本委員会主催のシンポジウムを年度末に実施した。(平成21年度日本看護系大学協議会「看護系大学・大学院の看護学専門領域評価に関する研究」報告書、「看護学専門分野質保証における学士課程評価の構築をめざして、看護学教育W、日本看護協会出版会、2010)。
平成22年度から、本協議会の一般社団法人化に伴い、本委員会も本協議会の常設委員会に位置し、名称を「看護学教育評価検討委員会」に変更し、看護系大学の教育の質保証における専門分野別評価の構築を目指し、更なる活動を展開した。具体的には、高等教育行政対策委員会「コアカリキュラム検討委員会」(委員長 野嶋佐由美)による「コアとなる看護実践能力と卒業時到達目標」との連動を念頭に、学士課程専門分野別評価項目案の修正、学士課程専門分野別評価実施報告案を検討し、年度末には高等教育行政対策委員会との合同によるシンポジウムを実施した。また、本評価システム構築に関する数年毎のアンケート調査結果から、多くの参加者は、看護学に特化した評価の必要性を認識し始めていること、また、各大学内の自己点検評価に加えて、外部評価を受けることを前向きに捉え始めている大学が多いことが伺えた。(看護学教育評価検討委員会 「平成22年度 報告書」)