202403

陸からの初めての投げ釣りで釣れた小ヤズ。
気の合う仲間と好きなことをする時間はリフレッシュになります。

愛媛大学大学院 医学系研究科看護学専攻
達川 まどか

愛媛大学医学部看護学科卒業後、看護師、自治体保健師として勤務。保健師として働きながら、愛媛大学修士課程に入学。修士課程(看護学)修了後、現職。現在、大阪公立大学大学院博士後期課程に在籍中。

実習指導から学び、教員として大切にしていきたいこと

 私は、実習指導で学生と関わることが多いですが、その実習指導から学び、今後も教員として大切にしていきたいと考えていることを述べていきたいと思います。

 「あなたが私の言ったことをそんな風に考えてくれたことが嬉しい。ありがとう。」この言葉は、関わりの中で患者が学生に言ってくれた言葉です。
 患者は、疾患により対麻痺が生じリハビリ目的で入院していましたが、自宅での生活は困難であるため、退院後は施設に行くことが決まっていました。患者は、疾患の影響から排泄障害も有していましたが、できるだけトイレで排泄したいという思いを強く持っていました。学生は、トイレでの排泄は身体機能的に困難ではあるが不可能ではないと考え、排泄に関する看護計画を立案し、試行錯誤しながら患者に関わりました。実践中は、できるだけ患者の希望も踏まえ、関わり続けましたが、今後の患者の生活スタイルを考慮した病棟側の意見もあり、患者が望む排泄は叶えることはできませんでした。学生は、うまく実践できなかった悔しさはありながらも、前向きにこの場面のことを私に話してくれました。
 この事例では、結果的に患者の願いに沿うケアは十分には実践できませんでしたが、看護職として、対象者に真摯に向き合い、より快適な生活に整えていけるよう、思考し、実践することの大切さを教えてくれたように思います。看護は、対象者のADL(日常生活動作)、QOL(生活の質)向上を目指し介入を行います。実践した看護を評価していくうえで結果はもちろん重要ではあります。しかし、それだけではなく、対象者と看護職の関わり、そのプロセスに、看護職として成長し、看護が発展していく要素が沢山あると感じています。実習は、朝も早く、記録もあり…身体的・精神的にきついものです。だけど、実習だからこそ学べることも多く、そこに看護の面白さがあると思います。教員は、その面白さに学生が気づけるような関わりをすることが必要なのではないかと思います。そのためには、学生が考え、実践し、その実践を振り返り、評価しながら更に実践していくプロセスを支えていくことが大切だと考えています。また、それには実習施設の協力も必要不可欠ではありますが、この事例では、私の説明が不十分で、病棟側と事前に調整できていなかったことが反省点でした。今後も、先輩教員、実習指導者等とコミュニケーションを取り、連携し、効果的な実践につながるよう実習指導を行っていきたいと思います。  少し、研究活動についても述べたいと思います。私は、現在博士課程に進み研究を進めています。私が在籍しているゼミは訪問看護師、保健師、病棟看護師、経済を専門分野とする方々が在籍しています。仕事と両立しながら研究を進めていくことは容易ではないですが、ゼミ仲間と愚痴をこぼしたり意見交換できたりするのは、非常に心強く、研究のヒントとなることも多いです。また、現在研究を進めていく中で、研究をサポートしてくれる人々との関係性を構築していくことも重要だと感じています。私にとって博士課程に進学することはパワーのいることではありましたが、博士課程で経験していくことは、教育研究者としてだけでなく、私自身にとっても大きな財産になるだろうと感じています。
 私は、看護教員となってまだ5年と日は浅いですが、だんだんと実践とは違う大変さ、面白さを感じられるようになってきた気がしています。今後も、人との出会いを大切にするとともに、看護の対象となるものの生活を支える看護が実践できる環境づくりに寄与できる教育、研究に取り組んでいきたいと思います。

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