新潟大学医学部保健学科看護学専攻を卒業後、聖隷三方原病院、済生会新潟病院、札幌保健医療大学を経て2021年10月より現職。2019年に新潟大学大学院保健学研究科博士前期課程修了(保健学修士)。
看護基礎教育に携わってから今年で5年目を迎えました。手術室や外科・内科病棟の臨床経験を活かして、主に成人看護学を担当しています。また、研究は慢性肝疾患とサルコペニアに関連するテーマから始めたのですが、最近は、医療資源の地域的な偏在や医療へのアクセシビリティに関する研究に取り組んでいます。前者は主に人間を対象としたものでしたが、後者は、地理情報システムや公的統計データ、オープンデータを活用した研究が主体です。この機会に、教育と研究についてご紹介させていただきます。
まず、教育について述べます。看護教員としての立場になり、学生の成長を最大化するために教員はどうしたら良いかを模索してきました。特に臨地実習前後の学生の大きな成長に日々驚きと喜びを感じ、臨地実習における教員の役割を考える毎日です。臨地実習では、真摯に取り組む学生と丁寧に助言をくれる臨床看護師、そして実習を受け入れてくれる患者さんの相互作用によって尊い時間が生み出されます。そのような貴重な時間を学生とともに過ごす上で、大事にしていることは学生の安全と心からの応援です。学生の主体的な学びとモチベーションを引き出せるよう、できるだけ余計なことをせず、優れたモチベーターになろうと心掛けています。これが現在の教員の役割に対する私の解です。
教員といっても限られた知識と経験しかないので、学生から教えてもらうことの方が多く、学生との対話が教員としての成長につながっています。また、臨地実習での学生の経験や学び、気づきを聞くのが楽しみであり喜びです。
次に研究を少しだけ紹介します。医療資源の地域的な偏在や医療へのアクセシビリティに関する研究に取り組み始めてから3年が経過しました。看護学以外の研究者とも関わることが増え、多くの刺激をもらっています。医療へのアクセシビリティに関して、人々が必要な医療サービスを適切なタイミングで受けられるかどうかは、個人的要因から社会的要因まで様々な要素に影響されます。公平な医療体制の構築に向けて、看護職の立場から医療資源の地域的な偏在やアクセシビリティの格差を解消するための具体的な政策提言や地域社会との協働を通じた実践的な取り組みを展開し、研究と社会実装によって課題解決を図っていくことがこれからの目標です。