202211

令和4年度実習指導者講習会「基礎看護学グループ」の指導案とグループ写真をいただきました

東北福祉大学健康科学部保健看護学科
渡邊 生恵

弘前大学教育学部特別教科(看護)教員養成課程を卒業。東北厚生年金病院で看護師として勤務後、東北大学医療技術短期大学部、医学部保健学科、医学系研究科に勤務。東北学院大学大学院人間情報学研究科(修士)、東北大学大学院医学系研究科医科学専攻(博士)を修了。2014年より東北福祉大学にて基礎看護学領域の科目を担当。

実習指導者さんに感謝!

 普段、実習指導者さんや現場の皆さんに感謝の気持ちをお伝えする機会はありますでしょうか。私は、実習最終日なども学生のことが優先となってしまい、自分自身は慌ただしいご挨拶しかできていないと感じています。そこで、この場をお借りして感謝をお伝えしたいと思います。
 まずは、先日まで講師として参加しておりました、令和4年度実習指導者講習会(宮城県からの受託事業として宮城県看護協会で開催)の様子についてご紹介させていただきます。私が担当させていただいたのは「実習指導と看護倫理」、「領域別実習指導方法(基礎看護)」の講義と、実習指導案作成の演習です。
 「実習指導と看護倫理」の講義では、実習指導場面における看護者としての倫理と指導者としての倫理に関する内容を取り上げ、また学生がどのように物事をとらえ、どのようなことで困っているのかなどについてもお話しいたしました。前半の講義後に、受講者の皆さんに“実習指導について迷ったこと・心配なこと”を書いていただき、後半のグループワークのテーマにする予定としました。
 以下、受講者から寄せられた記載から、内容が分かる程度に改変しご紹介します。指導場面においては、「ケアの場面で学生がすごく緊張していて、自分が見ていることで余計に緊張させている気がして、気まずかった」、「学生のケアに関して患者さんの了承が得られず、学生の気持ちも考えると困った」、「ほかのスタッフにケアについてもらうと指導の視点ではなくなることもあり、学生に申し訳ない」などがありました。ほかのスタッフの方との間にはさまれ「指導を担当していないスタッフから学生のことを悪く評価され、そうではないと思ったが言いにくい」などもありました。
 これらを取りまとめて後半の講義で配布しました。様々な内容が寄せられていましたので、テーマを設けてのグループワークというよりも、内容を共有するだけでも意味があるのではないかと考え、それをもとにグループ内で感想を述べあってもらいました。自分だけが悩んでいるのではないか、他の人は対応できているのではないかと思っていたことが、自分と同じような経験をしている人がいた、他の人も困っていた、と知り、皆さん一様にほっとしていたようでした。この講義内容についても、学生がどんなことに困っているのか分かった、今の学生がどのように考えるのか分かった、などの感想をいただき、学生の様子をお伝えすることが、教員の大事な役割の一つであるとあらためて認識しました。また他の講義や演習中には、「早く実習指導したくなってきた」というような感想もお聞きしました。病棟に実習生がいる期間は仕事内容が一つ増えるわけですので楽なことではないはずですが、そのような感想をいただき、教員としては本当に嬉しい限りでした。
 以前、実習最終日にこのようなことがありました。学生がナースステーションで実習終了の挨拶をする際、受け持たせていただいた患者さんも同席を希望されました。学生が挨拶を述べると、それを聞いた患者さんが感涙され、それを見て学生が感涙、挨拶を聞いてくださっていたスタッフの皆さんも感涙され、最後に教員(私)が全員分のもらい泣き。ベッドサイドでの挨拶で涙ぐむという経験はありましたが、このようにナースステーション全員で泣いた経験は初めてでした。実習期間を通じ病棟全体で学生を受け入れていただいた実感の残る実習でした。学生は実習中うまくいかないこともありましたが、次に進むための力強い応援をいただいたと思います。学内だけでは決して得ることのできない応援です。
 現在、このコロナ禍において、実習を行えることのありがたさと大切さを身にしみて感じています。看護学教育を支えてくださっている実習指導者さん、現場の皆さんに心より感謝申し上げます。

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