2011年 熊本大学大学院 医学教育部 医科学専攻 博士前期課程 修了(医科学修士)
2013年 日本学術振興会, 特別研究員
2015年 九州大学大学院 医学系府 保健学専攻 博士後期課程 修了(保健学博士)
2015年 九州大学大学院 医学系府 保健学部門, 特別教員
2016年 Mayo Clinic 循環器内科学部門, 客員研究員
2018年 広島大学大学院 医歯薬保健学研究科, 助教
2019年 広島大学大学院 医系科学研究科, 助教(現職)
本邦における睡眠を取り巻く環境は、長時間労働や照明設備・情報機器の発達に伴う短時間睡眠を始め、飽食の時代による肥満者の人口増加に伴う睡眠呼吸障害患者の増加など悪化の一途を辿っています。これらの睡眠障害は、高血圧や不整脈の発症を始め、心不全・冠動脈疾患・脳梗塞・心突然死など多岐にわたる心血管イベントの発症に関連していることが多くの研究において示されています。1そこで私は、現在広島大学にて循環器疾患を軸に睡眠障害(特に睡眠呼吸障害)の研究を行っています。私はこのような問題に対して、特に睡眠障害のサブタイプを同定し、そのサブタイプに応じた身体面/精神面への悪影響について様々な集団を対象として検討しています。2,3
更に、道半ば途中でありますが、私は医学や情報科学、そして看護学の複数の学術領域を統合して、患者の様々なOutcomeの改善に寄与したく日々研究を行っています。現在、私は、米国のMayo
Clinic、Pennsylvania大学、英国のBarts Health
NHS等、複数の施設と一緒に国際共同研究を行っています。国際共同研究では、米国のNationalデータや全ゲノム配列データなど様々な特徴的なビッグデータを用い、医学/情報科学的な手法を統合して循環器疾患を持つ患者の様々な長期的/短期的Outcomeの改善を目指しています。4
一方、大学院教育においては、修士/博士の学生に対して看護学的な知見に則りながら、情報科学的な手法を通してあらゆるStudy
Questionの証明ができるような指導を行っています。5,6学生が、Study
Questionを証明するための様々な数理処理法を習得することで、実証性/客観性があり、再現性が高い研究の遂行ができるように指導しています。そのような過程を経ることで、学生自身の研究成果が着実に次の課題に向けて積み重ねできるようになり、より困難なStudy
Questionに対して挑戦できるように指導しています。
私自身、臨床家ではありませんが、学部教育では、様々な研究を通して得た経験を生かして「目の前に起こっている事象の本質を捉え」、「物事の証明に必要な適切な情報を集め」、「過不足なく複数の情報を統合し提示しながら、的確に自身の考えを表現する」といった臨床現場にも共通する過程を学生が習得できるような指導を心掛けています。同様に、私は学部教育を通して学生には表面の現象論に留まらず本質的に対象の状態を解釈できるような指導を心がけています。そして、学生自身の頭で本質を考え、臨床で起こるあらゆる問題に対して創意工夫を凝らして問題解決ができる人材の育成を目指しております。
今後も様々な睡眠障害/循環器疾患に対して、患者のニーズに寄り添い、還元できるような研究を行いつつ、学生に対しても建設的で物事の本質を少しでも考えられるように教務活動を行っていきたいと思っております。