山口大学医学部保健学科看護学専攻卒業、聖路加看護大学(現 聖路加国際大学)大学院看護学研究科修士課程修了(看護学修士)。2012年より現職。
長崎県立大学は、看護栄養学部以外に、情報システム学部、国際社会学部、地域創造学部、経営学部があり様々な専門の教員がいます。昨年度は、新型コロナウイルス感染拡大によって、大学の授業もこれまでの対面授業方式から大きく変化しました。これまでの対面授業に加え、大学全体として、ICTを活用した遠隔授業も取り入れられました。
医療において、多職種連携は重要であり、患者中心のケアを基本に医療者として働いてきました。今回の遠隔授業では、専門分野を超えて、他学部の教員と一緒により良い学習支援を構築するために取り組みましたが、これまでの医療における多職種連携の考え方が基盤となり、充実した経験になりました。
私は、ICTを活用した意思決定の研究などを行っています。これまで、研究分野においてICTを活用した研究をしてきましたが、1年ほど前までは、自分のICTに関するスキルを大学全体の教育活動として活かす日が来るとは想像もしていませんでした。
また、ICT教育の経験では、学生から、成長する機会をいただけたと感謝の気持ちでいっぱいです。学生のニーズやフィードバック、学生の反応によって、自分の目指す教育について、改めて考えることもできました。
これまで対面による授業では、学生の反応を見ながら授業を進めたり、双方向にコミュニケーションをとりながら実施することができていました。また、限られた授業時間の中で、学生と共に授業を作り上げていくという取り組みをしていましたし、グループワークをおこなったり、対面授業には多くの良さがあります。ICTは、多くの情報を短期間で多くの人と共有することができることもメリットです。今回、ICTを導入した授業を実践後、学生はパソコンだけではなく、一番身近にあるスマートフォンの活用が特徴の一つとなりました。例えば、授業の後に、各学生の学びや質問などを教員と共有し、教員は学生へフィードバックをおこなったりします。さらに、授業後の学生と会えない時間も、双方向のコミュニケーションをオンラインにおいて実施することができました。デジタルネイティブ世代の学生にとって、スマートフォンはとても身近なものです。スマートフォンやパソコンを活用することによって、授業後の学生の学びのフォローアップにもつながりました。ICTの活用によって、学生一人ひとりと教員が「つながる」実感をもつことができたと感じました。学生の中には、一見、普段の授業や会話では、たくさんの発言をしなくても、実はじっくりと考え、自分の考えをまとめてから、意見やアイデアを述べる人もいます。また、言葉を丁寧に選びながら自分の考えとしてまとめる、相手の気持ちも考えながら一つひとつの会話やコミュニケーションを構築するなど、学生の個性は多様です。このような学生一人ひとりの個別性に合わせて、学生と教員が一対一で「つながる」を実現し学びを深めるサポートをすることができるのもICTの特徴ではないでしょうか。
この度のICTを活用は、新たなチャレンジでしたが、学生の個別性を考慮した学習の充実のきっかけとなり、また、学びの共有をこれまで以上にスムーズにスピーディーに行うことができる新たな発見の機会となりました。改めて、私自身、教員として成長する機会をいただけたことに感謝したいと思います。