202007

京都橘大学看護学部
野島 敬祐

三重県立看護大学卒業後、大学附属病院の急性期病棟や総合病院のERで看護師として勤務。大阪府立大学大学院看護学研究科博士後期課程修了(博士:看護学)、2015年より現職。

卒業後も応援したい!
卒業生と楽しく学ぶシミュレーション教育

 看護を楽しく学べる!と実感したのはシミュレーション教育に出会った時です。
 はじめてシミュレーション教育を行ったとき、学生が生き生きとした笑顔でより良いケアについてディスカッションをしている姿を見ました。その時、「きっと良い看護師になるなぁ…」とワクワクした感覚を今でも覚えています。そして何より、教員である自分もとても楽しく学んでいることに気づきました。そこから私はシミュレーション教育を含めたアクティブラーニングに取り組むようになりました。今回は、その中でも本学の卒業生を対象に開催しているシミュレーション教育を取り入れた「たちばなSIM」についてお話ししたいと思います。
 本学では2012年より大学卒業後も看護学を学び続け、保健医療の現場で活躍する卒業生を応援する事業として、「たちばなSIM」を実施しています。シミュレーション教育を取り入れた研修で、久しぶりに再会する卒業生や教員と、リラックスし、安心できる学びの空間で、働きながら身に付けた知識を改めて学びほぐす場を提供しています。同窓会のような雰囲気で、いまさら聞けない基本的なことを学びなおしたり、ほかの参加者と知識や経験を共有したりすることで「明日からまた看護を頑張ろう!」と思えるような研修デザインになるよう心がけています。研修のテーマは卒業生にアンケートを取ることでニーズ把握をし、担当教員間で話し合って決めています。これまでに、「心電図徹底トレーニング」「呼吸音徹底トレーニング」「病棟あるある急変対応」「母体急変への対応」などさまざまなテーマで行ってきました。失敗しても、繰り返し練習できるシミュレーション教育の特徴を活かして、卒業生はとことん学んでいます。教員としては、学生の時からの成長を驚いたり、一方で変わっていない一面を見たりして、ホッとすることもあります。研修後に笑顔で帰っていく卒業生を見ると、準備が大変だったけど、やって良かったとしみじみ感じます。
 看護職者の離職は決して少なくありません。本学でも就職後に、離職の相談をしてくる卒業生は毎年います。もちろん、離職がすべて悪いとは言いません。しかし、私は卒業生に対して、4年間大変な思いをしてせっかく学んだ看護学を諦めてほしくないという思いがあります。「たちばなSIM」は日常業務の合間に準備・実施をしているので、正直、てんやわんやです。しかし、このような研修を通して、これからも卒業生を応援していきたいと思っています。

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