カリフォルニア州立大学看護学部卒、ロナルド・レーガンUCLAメディカルセンター勤務、聖路加国際大学 博士前期課程修了後、現職。専門分野は国際看護学、基礎看護学。
今回は、平成25年の学部開設以来、創価大学看護学部で力を入れている国際看護教育についてご紹介させて頂きます。
私は、アメリカのロサンゼルスにて学士課程を修了し、現地の大学病院にて看護師として7年間の臨床経験を積みました。現在は、これまでの海外における看護と研究の経験を活かし、同看護学部の開設当初から国際看護教育に携わっています。
看護学部の目標の1つには、グローバルマインドを持った看護師の育成が掲げられており、豊かな国際交流のネットワークを通して教育交流を進めています。現在米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校看護学研究科(以下UCSF)、フィリピン共和国キャピトル大学、フィリピン大学、イースト大学、大韓民国仁済大学、ザンビア共和国ザンビア大学と4か国6大学と交流協定を結んで国際看護研修の実施と客員教員の受け入れを行っています。
研修は学生の習熟度と研修目的に応じてエントリーレベルからアドバンスレベルに分かれています。どの研修も講義、病院視察や学生交流を行い、現地の健康問題に対する保健・医療・看護の取り組みや、多様性を尊重したケアの重要性を理解することを目的に組み立てられていますが、その中でもアドバンスレベルにおいては事前学習にも力を入れて、自主性を持って学べる個人リサーチを組み込んだ内容としています。
例えば、アドバンスに位置づけられるUCSF研修は、参加者の選考が行われる9月から研修実施の2月までの5ヶ月間にわたり事前学習を行います。学生は興味関心のあるテーマについて文献検討に取り組み、現地でのインタビュー調査に向けて準備を行います。研修では、調査結果をプレゼンテーションにまとめ英語で発表します。教員は学生が探究心をもって自主的に学べるよう支え、一人ひとりの持つ力を引き出せるよう個別の指導にあたります。
昨年度UCSF研修に参加した学生は「看護師のバーンアウトと自尊心の関係」、「分娩時の異常出血処置キットの使用による加州における妊産婦死亡率の軽減について」、「身体抑制に関する適切な意思決定」などをテーマにリサーチを行いました。その後の学生は、「英語のコミュニケーションに難しさを感じ悔しい思いをすることもありましたが、挑戦し続けることでその壁を乗り越えていけるということを学びました」「チームワークや多様性を重視するアメリカの医療現場で働いている看護師にインタビューする中で、自身の将来の仕事への想いも育まれました」「人々の価値観や文化を尊重できる看護師となれるよう、この研修で得た学びを大切にしたいです」等と語っていました。学びの喜びを得た学生は帰国後の勉学へのモチベーションも上がり、グローバル化する現代社会の中でも夢を大きく世界へと活躍する努力を続けています。
教員として学生の成長を見守れることは何よりも嬉しく思います。今後も、自主的に学びグローバルルマインドを持って看護を実践していけるような看護師の育成に努めてまいります。